二重譲渡(にじゅうじょうと)とは、第1譲渡行為における譲渡人が同一物を第三者へも譲渡する(法学上「譲渡」とは意思に基づく特定の財産権の移転を言い、有償・無償を問わない。贈与や売買など。)関係をいう。ある者が同一対象物を相次いで2者に譲渡した場合に、2人の譲受人の間でどちらが優先するか、についての議論がなされる。なお、制限物権の二重設定や所有権譲渡と制限物権設定の競合の場合にも同様の議論がある。
民法、特に物権法における典型的かつ根本的な設例として、物権変動の理論を理解するため最も用いられる問題でもある。準物権変動である債権譲渡についても同様の問題がある。
典型的な二重譲渡の例としては、AがBに対象となる特定物Xを売却した後、Aが、Xを他のCにも売却する関係が挙げられる。
以下は、まず、上記対象物Xを不動産として、不動産物権変動における二重譲渡について説明する。なお、不動産の譲渡などの物権変動の「第三者」への対抗、つまり、譲受人が自分が買い取り所有権を取得したことを「第三者」に主張するためには、対抗要件として当該不動産についての所有権移転登記を要するものとされている(民法177条)。
続いて動産の物権変動についても説明する。