法定地上権(ほうていちじょうけん)とは、同一の所有者に属する土地・建物について抵当権の実行または強制競売が行われた結果土地と建物の所有者が異なることとなったとき、法律の規定により発生する地上権のこと(第388条・民事執行法第81条)。法定地上権が認められる時には、土地の評価の6~7割の部分が法定地上権の部分として土地の評価から減額され、建物の評価に加算される。
競売の場合、土地・建物(法定地上権付)の競売であっても超過競売になると法定地上権付の建物だけ競売で売却されることとなる(61条但書、民事執行法第73条)。ただし、所有者の同意があれば同時に売却はできる。超過競売というのは、競売申立債権者の債権と執行費用が申し立てられた数個の不動産の一部で弁済可能な場合には全部を競売で売却すると過剰であるとして一部の売却しか認めない。
本来、不動産を購入したい人は、土地付きの建物を求めるのが普通であり、この売り方ではなかなか売却されず、その結果、競売価格が下がり、競売申立債権者を害することがよくあり、所有者にも大きな損害を与える結果(本来なら余剰があり、配当されるべきものが、配当されなくなるなど)となる。理論的に言えば、超過競売はいけないといえるかもしれないが、現実的には庶民感覚とずれているといえるではないか。
第三者に対抗するためには、地上権設定登記(第177条)または建物の登記(借地借家法第10条)を備える必要がある。
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める(第388条)。
土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権を設定したものとみなす。この場合においては、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める(民事執行法第81条)。これは不動産に対する強制執行の規定で、不動産担保権の実行に準用されている(民事執行法第188条)。