「もや」から「おもや」へ
「母屋」はもともと「もや」と読み「庇」・「孫庇」の対義語であったが、寝殿造の建物がつくられなくなると、読みと意味を変えている。それには、平安時代後半から、屋根を支持する天井より上の構造と、屋内を形づくる天井より下の構造とを分離させた日本独自の建築技術が発達したことが大きくかかわっている。これによって用途や機能に応じた部屋が屋内に自在に配置されるようになり、「母屋」の指し示す対象が大きく変化したと考えられている。
母屋(建築部材)
母屋(もや)は木造建築・鉄骨構造の小屋組部材の名称。一般住宅のほとんどの場合約90ミリ四方の杉の角材であることが多く意匠の目的で丸材を用いることもある。在来工法では、小屋梁の上に約900ミリ間隔で小屋束を立てその上に上げられる。切妻や入母屋の妻側に突出させた母屋を鼻母屋といい、部材自体を化粧材としたり、漆喰やモルタルなどで塗籠めるかまたは破風板で隠したり木口に板金を被せるものもある。